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東海地方は土に恵まれたエリアで、瓦や陶器の産地として知られています。セラミックなど土に関わる多くの技術も産み出されてきました。19●年の調査では、●%の住宅が土壁で建築され、全国で最も割合の多いエリアでした。とはいうものの、土や左官を活かした建築は近年急減しており、地域性のある建築を考える上で、これからの時代に、土や左官をどのように活かしてゆくのかも、重要なテーマだと考えています。

<竹小舞現場写真、頃寝庵 写真>

 

土や左官の活かし方は、土壁だけでなく多様な仕上げ方があります。モダンな空間に活かす方法も無限にあるのではないかと感じています。土や左官は古い技術、過去の技術と思われがちですが、土の性質や色、漆喰などとの組み合わせ、左官の技能・技巧など、知れば知るほど豊かな世界があり、未来への可能性を感じさせます。土ならではの重量感や、やすらぎ感など、人工的な空間やシステムの割合が増えてゆくこれからの社会だからこそ、求められるのではないでしょうか。

<ASU女子トイレ 完成 ASU男子トイレ 完成>

 

浜松以東は建築に適した土を得にくく、それゆえ左官職人もより少なくなってきているといわれています。そのような中で、東海地方から西日本にかけては現在でも左官を活かした家づくりは、まだ比較的行いやすい状況にあります。土壁用の土(ドロコンと言います)は愛知や岐阜などで生産されており、仕上げ用の黄土なども製造されています。藁スサを製造する会社もあります。こうした地域の資源を有効に活用しつつ、ユニークな使い方もふくめ、現代における土の活用を見出してゆきたいものです。

< ドロコン屋、地域によって異なる土のいろ>

 

世界を見渡せば、現代でも●万人が土の家に住んでいると言われます。わが国における土壁は1400年以上の歴史をもちます。その長いつき合いのなかで、食文化にも大きな影響を与えていて、「土蔵」が生まれたことにより醸造の技術が発展し、今日に至っています。

<アオトベンハドゥ、八丁味噌蔵内部>

 

ヨーロッパを旅すると、伝統を感じさせる美しい街並みに出会ったりします。新しい建物も、旧来の街並みになじんで、ごく自然に見えてきます。また、石造やレンガの伝統的な技術と現代建築が融合し、趣のあるスマートさが演出されていたりもします。下の写真は、伝統的なウロコ張りがモダンな建築に取り込まれた事例です。 我が国でも、土を用いた新しい感覚で空間を展開できると面白いかもしれません。

<ヨーロッパの風景、ウロコ張>

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