Article-5  自然素材と温熱環境  natural materials and thermal environment

住まいの温熱環境は気温と湿度のコントロールで語られることが一般的です。人は、気温、湿度、風速、放射熱などの温熱的な要素のバランスの中で、快適や不快を感じています。気温が高くてもカラッとしていたり、湿度が高めでも風通しがよかったりすると、不快さは和らいだりします。そして人には、暑熱や寒冷への順応、慣れという適応能が備わっています。昔に比べて少なくなってきたと言われるものの、本来、私たちの人体は季節によって代謝量が変化するなど、環境にあわせて調整する力があります。しかし、今では環境側が全てを調整してしまい、人体側が調整を全くしなくても済む時代になりつつあります。人体が本来もっている力を保っていくためにも、温熱環境に対するある程度の適応力を養える工夫も建築側に求められるのかもしれません。

 

熱的効果

省エネルギー基準を満たし、要望があればそれ以上の断熱性能をもった建築をつくるように心がけています。土壁を用いる場合には、その外側に断熱層を設けて、土の蓄熱性を活かした室内環境が実現できるようにします。

<断熱工事 写真>

 

土壁など熱容量の大きい要素が室内にあることで、室温の変動が緩やかになり、湿度の変動も和らげる効果が期待できます。住宅全体を土壁にすることは難しくなっていますが、一部分の居室や壁などに土や左官を活かすことも可能です。

土壁に外断熱を施した住宅とそうでない住宅の比較調査を行いました。いずれの住宅も昼・夜ともに通風をしてすごされています。夏についてみてみると、外断熱がない場合には、土が日射で温まってしまい、蓄熱し、夜間も室内があつくなるという結果でした。

外断熱があると、夜間は28℃くらいまで気温が下がっていますが、外断熱がない場合には30℃にとどまっています。壁の内部の温度を計測すると、外断熱がないことで2℃以上土が高温で推移していることがわかりました。

<グラフ>

 

学生を被験者とした実験を行いました。畳や杉、ヒノキは、チークやカリン、複合フローリングなど堅くて重い床材に比べ、冬に暖かく感じるという結果となりました。同じ気温であれば、快適性がより高いということになります。

<実験風景、グラフ>

夏についてみると、畳や杉、ヒノキは熱的には顕著な差はありませんでしたが、べたつきにくいなど効果と相まって「好ましい」という傾向がみられました。

 

6)素材と色彩

自然素材の色彩を愉しむ

木の色や土の色は、時間を経て変化してゆきます。桧や杉は、当初の。。が、。。に。杉は、白太と赤身で、

土の色は、採った場所によって、。。から。。と異なります。腕のいい職人が、きれいに塗った壁でも光の当たり具合で揺らいで見えたりします。工業製品にはない、つくり手の痕跡が、

顔料を使った現代の着色になれた私たちにとって、やさしくやわらかな自然の木や土がもつ色彩の豊かさは新鮮なものに映ります。そして、私たちが年を重ねて変化してゆくように、建築も円熟してゆくというのも、愉しみのひとつだろうと思います。

 

 

は、当初の均質性、安定性は得られるものの、その後の色褪せや変色は