日本の伝統的構法を学ぶため、大工棟梁 中村武司氏に指導いただきながら、学生のみなさんが茶室をつくりました。伝統的な継手・仕口で軸組をつくり、大学の竹藪で採った竹で竹小舞を編みました。
「頃寝庵(ごろねあん)」という名の通り、授業のない時間にごろ寝ができるスペースです。日当たりと風通しがよく、見晴らしもなかなかの校舎のロビーにつくりました。春には、小舞を通る風と日射しを楽しめることでしょう。
土壁を用いた伝統工法で建築をつくる工程では、木造の軸組みと竹小舞だけで構成された状態ができあがります。なんとも、軽やかで透明感のある美しい風景だなと思うのですが、通常はその上から土壁が塗られて、別の空間へと変化していきます。そこで、この茶室?では、竹小舞の状態で終わらせようということを最初から計画しました。床の間の背面から光が指してくる、竹小舞の美しさが堪能できる茶室となりました。
床束のホゾと大引が交差する仕口
半期の授業の中で取り組みました。最初の数回の授業で、わたり腮、長ホゾ込栓を組みあわせた小さいモデルを各自でつくりるトレーニングをしたあと、建物の制作に入りました。 学生はいつの間にノミや鋸を駆使し、それなりに刻めるようになっていきまそた。仕口をつくる精度が徐々に上がってゆくのがわかります。
教科書を見たり、サンプルを触るだけではよくわからない継手や仕口も、実際に作ってみると深く納得できます。車知栓が吸い込まれるように納まり、継手が固まる様子は感動ものです。みんなで行う建前はわくわくし、組みあがったときには歓声が沸き起こりました。
大学構内の竹やぶで、竹は大学の竹藪で採りをしました。それを竹割器で割り、ナタで角をとり、縄で編みました。竹採りや竹小舞を掻く作業もなかなか楽しいものです。
最初の頃の作業はたどたどしいものの、しばらくすると小気味よく腕と体が動いて、おしゃべりをしながらの作業になります。
完成です! 伝統構法は座学で教えようとしてもなかなか実感を得にくいものですが、つくってみると手触りや香りとともに、みんな虜になっています。職人の世界と建築教育がつながってゆくと、建築も街もさらに楽しいものになるのではないでしょうか。