松應寺は、岡崎市松本町にある寺院で、徳川家康の父、弘忠公の廟所があります。古い絵図を見ると江戸時代には壮大な寺院でした。
現在の境内はコンパクトで、古い木造家屋に囲まれ、「松應寺横丁」と呼ばれる木造アーケードを通って入ります。レトロでユニークな雰囲気を活かしたまちづくりも行われています。学生とともにお伺いし、服部住職にご案内をいただきました。
■松応寺の土塀の再生 2018.10
弘忠公の廟所には、松の木が植えられており、その周りを土塀が取り囲んでいます。しかしこの土塀が長年の風雨で崩壊してしまったことから、今回これを復原すべくプロジェクトに関わることになりました。この土塀は土を層ごとに突き固めた「版築(はんちく)」で作られています。なるべく旧来の方法を用いて再現してみようということで、がんばって試みてみたいと思います。
松応寺の土塀の再生をめざした、版築のワークショップ。中国では土楼など「版築」を使った建築物も多くありますが、日本では寺院の土塀などにみられますが、さほど多くはありません。そして、日本の土塀をつくるにあたって、かつてどのような型枠と道具を使い版築が作られていたのかは資料がみあたりませんでした。
版築にチャレンジ 2018年10月7日
中国では「土楼」など、「版築」を使った建築物も多くありますが、日本では寺院の土塀くらいでありさほど多くはありません。そして、日本の土塀をつくるにあたって、かつてどのような型枠と道具を使い版築が作られていたのか調べてみましたが、資料がみあたりませんでした。
そこで今回、留学生と協力して中国の資料について調べてみました。型枠は中国で古くから使われていた、移動式のものを参考に図面化しました。突き棒などの道具も同じく中国の文献や動画を参考に大工さんに制作していただきました。移動型の型枠道具は、厚板でコの字型の形状をつくり、30から40cm程度の版築を作った後、移動して再度版築をつくることをくり返します。動画などでは、かなりリズミカルにつくっている様子が伺えました。型枠道具は、長い歴史の中でよく考えられている感じがします。
いよいよ実践です。突き固める作業は、想像してはいましたが、なかなか大変です(笑)。でも楽しいです。
土は、突き固めると3分の1くらいの体積になってしまいます。概ね、トラック1杯の土がベンチくらいに。
壁づくり本番 版築体験会 2019年7月13日
当初、移動式の型枠の活用も考えましたが、結果的に固定式の型枠とすることになりました。セパレーターを型枠の両側に通して、型枠の位置を固定します。市民のみなさんにも参加をしていたいて、学生も参加して、版築体験会となりました。